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第五回 日通不動産株式会社 営業開発部長兼鑑定部長 塩田 研太郎 様 (山路 敏之)

(山路)
1991年不動産鑑定士の実務補習で知り合った訳ですから、もう20年来のお付き合いですね。
物流倉庫の鑑定評価でいろいろとアドバイスをしてもらいましたが、やはり特殊ですよね?ポイントとしては、トラックの動線、つまりは作業効率・建物の汎用性、床加重等でしょうか?

(塩田)
一概には言えませんが、立地条件、接面街路状況等、この辺が通常の土地をみる視点と異なると思います。
物流不動産鑑定に長年携わり、思っていたことは、ほかのオフィスやマンションなどの鑑定と違い、客観的な施設の評価基準(不動産価値・テナント料データ)がなかったことでした。
倉庫業法が許可制から登録制へ移行するなど、各種法規制緩和によって倉庫の流動化が起こり、外資を中心とするファンド運用、証券化など投資や融資の動きが本格化しましたが、10年ほど前から、倉庫の有効活用のお話を物流業界内にとどまらず、金融機関など投資・融資する側からいただく機会が増え、そのとき、ほかの建物と違って、誰がみても安心できる客観的なデータを明示できないことへのもどかしさを感じていました。

(山路)
やはりこれは経験が無いとわからないですよね。
ミニバブルの頃に物流ファンドが複数組成され、その頃に日本物流不動産評価機構が発足し、確か事務局長をやっていると聞いてますが、これはどのような動きをしているのですか?

(塩田)
物流不動産の裾野を広げ、業界を発展させていくためには、こうした状況を変えていかなければならないと思っていましたが、たまたまイーソーコが運営する倉庫マッチングサイトの「e-sohko.com」を見かけ、イーソーコや日通不動産などが保有する豊富な倉庫データと、物流不動産鑑定技術、さらに金融・建築の専門家などの技術を集積することによって、業界内に、これまでなかった倉庫データの共有化を図れるのではないかと、思ったわけです。いまから6年ほど前にイーソーコ側に話を持ちかけ、2005年9月に、イーソーコ、日通不動産、日本政策投資銀行、日通総研、帝国データバンクなど物流・建築・不動産・金融の専門家が集まり、第三者の中立的な立場から物流施設の評価や診断を行う組織として「日本物流不動産評価機構」(望月光政・代表理事、略称:JA-LPA)を設立しました。 
物流施設の評価・鑑定作業を推進し、賃貸データや空室率のデータが整備することによって、物流不動産の投資適格性が増すこととなります。こうしたさまざまなデータが集まることによって、物流不動産の健全化が進み、流動性が増し、ひいては物流業界の発展につながります。

(山路)
未整備だった物流関係の評価がのノウハウが蓄積されたということは大変有意義ですね。
最近の物流不動産の市場動向はどのように推移していますか?

(塩田)
続々と集まってくるデータを分析すると、東京圏の物流不動産の適地については、価格の上昇が認められます。しかしながら、東北の特殊需要を除けば、全国的に下落傾向が鮮明です。
国内産業の空洞化が叫ばれ、海外への工場移転が進めば、国内貨物量が減少することは明らかなので、全体としての物流不動産マーケットは縮小せざるを得ないものと思われます。しかしながら、より物流の効率化を求めて、高機能型倉庫への移転・集約化の動きもみられるため、いわゆる自走式の環境配慮型高機能倉庫へのニーズは潜在的に大きいものと思われます。

(山路)
今の円高も相当なインパクトがあるでしょうね。
ギリシャのデフォルト懸念による世界的なリセッションの可能性も決して低く無いようですが、海外展開について教えて下さい。

(塩田)
日系企業としては、いち早く海外展開を行っていましたが、ここにきて、震災前から、日系企業の海外進出が盛んになり、チャイナリスクを回避するために、東南アジアに拠点を設ける傾向が鮮明になりました。それに伴い、日通グループも部品の供給・製品の輸出等の為に、メーカーと共に進出を加速させました。現地で、オーダーメイドをした倉庫を借りる場合もありますが、多くは、自社で投資を行い、自社専用倉庫を建設し、荷主のニーズに応えております。我々は、そこで、用地選定・査定、基本計画の策定から工事管理まで、お手伝いをしております。
中国は、100拠点を超える陣容で、大都市はほぼ全て網羅しておりますが、今後は、点と点の物流から、域内物流・国内物流等の中国内での物流ニーズに応えるために、トラックのみならず、河川・鉄道・航空等の複合混合輸送の発展を目指しております。

(山路)
今日はいつになく真面目な話しを聞かせて頂き、ありがとうございました。
大変勉強になりました。
物流不動産についてまた機会があればいろいろと教えて下さい。

日通不動産株式会社 営業開発部長兼鑑定部長
塩田 研太郎

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